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2019/10/30 「働き方改革」の本質【スタッフ投稿 5】

 先日、久々にフランスで働いている友人と連絡を取る機会がありました。その際、フランスでの一般的な会社の労働時間について聞いてみたところ、「飲食店は10:00~23:00で休憩4~5時間、オフィスワーカーは9:00~20:00で、休憩を2時間とっている」とのことでした。長く働くけれども、その分きちんと休む考え方に驚きました。

 

「働き方改革」が言葉として日本国内に定着し、今や多くの国内企業の大きな課題のひとつになっています。

 2年ほど前から現在にかけて徐々に浸透してきた「働き方改革」という言葉ですが、なんとなく「長時間労働を抑制する」イメージが大きく、「それ以外は?」ときかれると答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。「働き方改革」で、日本政府は具体的に何を目指しているのか。

 

 首相官邸のホームページには以下のように掲げられています。

「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。」

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html

 

 少子化が進み、日本の人口が少なくなっている中で、定年の引き上げや撤廃、夫婦共働きの推進などで働き手を増やし、幼保無料化など養育費の負担を下げることでできる限り出生率を上げて将来の労働人口を増やし、また、いわゆる「正社員」と呼ばれるフルタイム無期雇用社員と、アルバイト・パートや契約社員、派遣労働者などの非正規雇用社員との格差を縮め、さらには長時間労働を抑制して労働生産性を上げる。なるべくたくさんの人が労働に就けるようにし、格差を是正して労働の質を上げ、生産性を上げることにより、日本経済を活性化させることにその意義があります。

 その中でも長時間労働問題や正規非正規の格差問題、人手不足問題は、多くの企業が頭を悩ませているテーマではないでしょうか。日本では昔から「残業」を美徳とする文化があり、「そうではない」と言われながらもなんとなく今でも続いており、使用者側もそれを良しとしたり、黙認したりする傾向にあります。残業を「悪」とする文化が根付いている企業はまだ少数派でしょう。長時間労働から鬱などを患い、自ら命を絶ったり、心臓疾患で亡くなるなど過労死に関する悲しい事件がいくつも起こり、新聞やテレビニュースを賑わせています。人が少ないから労働時間が増える→労働時間が長いから人が辞める→労働環境が悪いから人が入らない(入ってもすぐに辞める)→慢性的な人手不足に陥り、残っている人が更なる長時間労働を強いられるという地獄の悪循環です。

 企業によっては残業禁止令を出して対応するところもありますが、仕事を終わらせるために休憩を取らずに働いたり、サービス残業や業務の持ち帰りで対応するなど、まったく労働環境が改善されず、結果、ブラック企業のまま、というケースもあるようです。残業をしないことが良いことなのではなく、残業しなくても生産性が下がらない環境を作ることが大切なのではないかと思います。

 長時間労働は、結局集中力の低下を引き起こし、ミスや作業の遅延に繋がります。企業側としては、時間あたりの生産性を上げるためには従業員の健康に配慮し、業務量の見直しや効率化、合理化を図って一人ひとりが最大のパフォーマンスを出せるよう努める義務があると思いますし、労働者側も指示待ちではなく、自分の仕事を限られた時間の中でいかに効率よくこなして終わらせられるかを常に考え、与えられた労働時間に対しての生産性を上げ、自分自身の価値を上げることを考えるということが大切なのではないかと思います。

 

【執筆者】okada